遅刻2014/03/11 15:15:25

 校庭の時計は私が犯した罪のせいで壊れているように見えた。
それは<遅刻>を指していた。そして廊下には、私が掠めてゆくいくつもの
教室の扉から、秘密の相談の低い声が洩れ出てきた。
 扉の向こうにいる先生と生徒たちは仲間同士なのだった。あるいは、何も
かもがしんと静まり返っていて、まるで誰かを待ち受けているかのようだった。
 音を立てずに、私はそっと扉の取っ手に触った。私の立つ足元を、陽の光が
浸していた。そして私は、私の受難の日を汚して、教室に入った。
 誰ひとり私を知らぬ風で、また誰ひとり、私の方を見さえしないように思われた。
悪魔がペータ・シュレミールの影を二度と返してはやらなかったように、先生は
授業時間の初めに私から私の名を取り上げて、自分の懐にしまい込んでしまって
いた。・・・

               (ベンヤミン・コレクション3「記憶への旅」より)


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